『原点であるトノウ カーベックス。その独自性を守りながら
どう進化させていくかが、新しい扉を切り開く鍵です。』
“The Cintrée Curvex is always our starting point. How we evolve it while maintaining its uniqueness is the key to opening new doors.”
Jean-Loup Glénat
フランク ミュラー社 デザイン部門統括
私自身は工業デザイナーのキャリアを経て、2010年1月にデザイナーとして入社し、15年目を迎えます。フランク ミュラーというブランドの中枢にあるのは、比類なき独創性です。クリエイティブ最優先のものづくりの場に身を置き、ディテールデザインを極めたいと願っていた矢先、ヴァルタン シルマケスとの出会いからウォッチランドへ導かれました。
ヴァルタンに最初に提案したのは、ヴァンガードです。アイデアの出発点は次世代へ継承すべきトノウ型でした。入社以来、私の脳裏からトノウ カーベックスの姿が片時も離れなかったのです。カーベックスはフランク ミュラーの独自性の源泉であり、リスペクトしてやまない完成形。その力強いボリューム、曲線、数字が果たす役割、そして人間工学的なフィット感。それらのコードを守りながら、若い世代の愛好家に向けて進化させました。新設計のポイントは、カーベックスの三次元曲線を二次元曲線に変えたこと。コード破りはタブーとされます。「らしさ」を損なうことなく、二次元曲線によってダイナミックなシルエットを引き出し、新しい扉を開く存在となりました。
もうひとつの自分の代表作といえば、トノウ カーベックスの進化型と位置づけられるグランド カーベックス“CX”。オリジナルのプロポーションを大きく変えず、内部構造を見直しながらモダナイズするというコンセプトを徹底しました。現代性を表現するヒントになったのは、この世に溢れる大型スクリーン。スマートフォンやテレビなど、どこまでもサイズアップしていくスクリーンの姿をイメージして、サファイアクリスタルの風防をストラップの付け根ぎりぎりまで広げました。結果的にムーブメントを保護するケースが風防の下に位置するレイアウトとなり、内側ケースに外装とは異なる素材を採用するアイデアへ発展させたのです。
このグランド カーベックスをベースとした、グランド セントラル トゥールビヨンのデザイン秘話にも少々触れましょう。要である機構のポジションにも関わることができ、トゥールビヨンをブランドとして初めて中央に据えるという野心的なチャレンジに、時計師とともに挑みました。歴史を振り返ればフランク ミュラーは、本来見せる必要のないトゥールビヨンを文字盤からあえて見えるようにした革新者。中央に覗くトゥールビヨンの「動」のイメージから、螺旋状のギョウシェをはじめとする時計本体のデザインを構築しています。デザイナーの領域を飛び越え、時計師やエンジニアとノウハウを出し合いながら新境地を切り開いたこのモデルは、フランク ミュラーのものづくりの未来像を示唆していると考えます。
フランク ミュラー本人が愛用するカサブランカの肖像。経年変化する文字盤をもつこの腕時計が示すように、その類を見ない独創性と時を慈しみ時を遊ぶ精神は、色褪せることなく不変です。“天才”と呼ばれ、メカニズムにおいてもデザインにおいても腕時計の世界に革命を起こした稀代の時計師、フランク ミュラー。その名を冠したブランドのものづくりが、進化の歩みを止めることはありません。今を輝かしく生きるために、フランク ミュラーの時計はあります。
『原点であるトノウ カーベックス。その独自性を守りながらどう進化させていくかが、新しい扉を切り開く鍵です。』
“The Cintrée Curvex is always our starting point. How we evolve it while maintaining its uniqueness is the key to opening new doors.”
Jean-Loup Glénat
フランク ミュラー社 デザイン部門統括
私自身は工業デザイナーのキャリアを経て、2010年1月にデザイナーとして入社し、15年目を迎えます。フランク ミュラーというブランドの中枢にあるのは、比類なき独創性です。クリエイティブ最優先のものづくりの場に身を置き、ディテールデザインを極めたいと願っていた矢先、ヴァルタン シルマケスとの出会いからウォッチランドへ導かれました。
ヴァルタンに最初に提案したのは、ヴァンガードです。アイデアの出発点は次世代へ継承すべきトノウ型でした。入社以来、私の脳裏からトノウ カーベックスの姿が片時も離れなかったのです。カーベックスはフランク ミュラーの独自性の源泉であり、リスペクトしてやまない完成形。その力強いボリューム、曲線、数字が果たす役割、そして人間工学的なフィット感。それらのコードを守りながら、若い世代の愛好家に向けて進化させました。新設計のポイントは、カーベックスの三次元曲線を二次元曲線に変えたこと。コード破りはタブーとされます。「らしさ」を損なうことなく、二次元曲線によってダイナミックなシルエットを引き出し、新しい扉を開く存在となりました。
もうひとつの自分の代表作といえば、トノウ カーベックスの進化型と位置づけられるグランド カーベックス“CX”。オリジナルのプロポーションを大きく変えず、内部構造を見直しながらモダナイズするというコンセプトを徹底しました。現代性を表現するヒントになったのは、この世に溢れる大型スクリーン。スマートフォンやテレビなど、どこまでもサイズアップしていくスクリーンの姿をイメージして、サファイアクリスタルの風防をストラップの付け根ぎりぎりまで広げました。結果的にムーブメントを保護するケースが風防の下に位置するレイアウトとなり、内側ケースに外装とは異なる素材を採用するアイデアへ発展させたのです。
このグランド カーベックスをベースとした、グランド セントラル トゥールビヨンのデザイン秘話にも少々触れましょう。要である機構のポジションにも関わることができ、トゥールビヨンをブランドとして初めて中央に据えるという野心的なチャレンジに、時計師とともに挑みました。歴史を振り返ればフランク ミュラーは、本来見せる必要のないトゥールビヨンを文字盤からあえて見えるようにした革新者。中央に覗くトゥールビヨンの「動」のイメージから、螺旋状のギョウシェをはじめとする時計本体のデザインを構築しています。デザイナーの領域を飛び越え、時計師やエンジニアとノウハウを出し合いながら新境地を切り開いたこのモデルは、フランク ミュラーのものづくりの未来像を示唆していると考えます。
フランク ミュラー本人が愛用するカサブランカの肖像。経年変化する文字盤をもつこの腕時計が示すように、その類を見ない独創性と時を慈しみ時を遊ぶ精神は、色褪せることなく不変です。“天才”と呼ばれ、メカニズムにおいてもデザインにおいても腕時計の世界に革命を起こした稀代の時計師、フランク ミュラー。その名を冠したブランドのものづくりが、進化の歩みを止めることはありません。今を輝かしく生きるために、フランク ミュラーの時計はあります。