MASTER OF COMPLICATIONS
FRANCK MULLER

STEP9 検品・出荷準備 すべてが完璧であるかを疑うための厳格な検査 ─乗り越えるべき最終関門─

STEP9 検品・出荷準備 すべてが完璧であるかを疑うための厳格な検査 ─乗り越えるべき最終関門─

ようやく完成したタイムピースが迎える最後のハードルが検品だ。これまでの工程でその都度、精度や品質、仕上がりは繰り返し確認されているものの、専任者によるチェックは別格といえる。ここにいたるまでの多くの作り手の思いを考えると、視線はより厳しくなる。もし1点でも見逃せばその努力も水泡に帰してしまうからだ。そして温かくも厳格な検査をクリアし、いよいよ出荷へ。

機能性や精度、
美観を徹底的に確認する
最後の検品工程

検品の部署には、ストラップの付けられていないケースの状態で持ち込まれる。それを外装の小傷や打痕、くすみなどがないかを入念にチェック。さらに文字盤やインデックス、針などの美観に加え、埃などの混入も確認。そしてリュウズの操作や運針、カレンダーの日捲りといった基本機能から、専用計測器を用いて精度やテンプの振り角を確認する。これらをすべて終えたものが出荷の工程に送られる。

1ルーペを使って組み立てに不備がないか入念に細部を確認
2ダイアルに沿って湾曲した針が風防に当たらないかも確認
3リュウズを回しながら時分針の正常な回転を確認
4時計のコンディションを調べる測定器
5歩度、振り角、振動数などを測定。別の専用機で防水性能の検査も行う

入念な確認作業の後、
世界各国へ出荷

出荷前に再び外観のチェックを行う。細心の注意を払っていてもここで不具合が発見されることも少なくない。ダブルチェックならぬマルチチェックだ。もし問題があればバフ研磨を施し、細部は綿棒で仕上げ、完了後にケースバックに保護シールを貼る。そしていよいよストラップと尾錠を取り付ける。この時も工具が滑ってケースなどを傷つけないよう神経を注ぐ。最終確認を済ませたら、ケース本体にラッピングを施し、世界各国へ出荷される。

1ルーペを使って小傷やホコリを確認
2小傷があった場合はバフ研磨をかける
3綿棒を使ってホコリなどを除去
4問題がなければケースバックにシールを貼り付け
5ストラップを取り付ける
6気になるホコリがあれば除去
7ケース全体にシールを貼り付け
8出荷へ!