天才時計師が語る時の哲学、
そして“これまで”と“これから”の歩み
フランク ミュラー、人は彼を“天才時計師”と讃える。
ブランドは創業30年を越え、その手が生み出してきた時計は誰をも驚かせ、魅力の虜にしてきた。そして私たちは知るのである。天才とは自身の理想に近づくための努力を惜しまず、ただひたすら続けた者のみに与えられる称号であることを。
彼はいう。
「この30年は自分にとって素晴らしいもので、ブランドとともに成長できました。これからも大切にしていきたいことはやはり伝統です。しかし、ただ伝統を守るだけでは今後生き残れないでしょう。伝統と新しい技術との融合こそ目指すべきもので、それは時計作りをより円滑に進め、新たな発想と幅のある作品を手がける上で必要不可欠なのです」
その足跡においてウォッチランドもまたフランク ミュラーの偉大な作品のひとつといえるだろう。
「もともとウォッチランドを思い立ったのは、友人のエルトン・ジョン氏との会話からでした。当時彼はアニメ映画の楽曲が大ヒットしていましたが、どうしていまさらそんな音楽を手がけたのかを訊ねると『子供たちみんなにオープンにするためだよ』と答えたんです。それを聞き、私もそんな場所を作りたいと強く願いました。限られた愛好家だけでなく、誰もが訪れ、オープンに時計の世界に触れられるような。場所選びもまず働く人たちのことを考えました。工業地帯なんかではなく、レマン湖に面し、晴れた日にはモンブランの見えるこの環境ならみんなが快適に作業できると考えたのです」
語る言葉からはその時計づくりにも通じる、相手を楽しませたいというホスピタリティが伝わってくる。
「私の作る時計にとってそれは非常に有意義なもので、ホスピタリティがあるからこそ得られたアイデアもたくさんあります。たとえば建築家の顧客と設計の話をすればムーブメント構造のヒントになり、画家とはアーティスティックな感性を分かち合い、ファッションデザイナーと今後のトレンドやカラーについて話すこともありました」
原点には相手に対する共感と理解があるのだろう。そうした相互作用から生まれた時計が人々に感動を与え、楽しませる。そして創造性の沃野であるウォッチランドでは、自身の蒔いた種がいまや次世代を担う時計師として太い幹を伸ばす。
「彼らに伝えたいのは、常にクリエイティブであってほしいということです。ひとつのアイデアが生まれたら、それを実現させるための柔軟性のある創造的な環境がウォッチランドには整っています。誰もが自由に行き来し、話し合いを続けながら自分のアイデアを育んでいく。そのクリエイティビティは忘れて欲しくないと思います」
ウォッチランドで働く人々はみなファミリーなんです、と語る視線はこの時計の国の未来を見据える。
創業者
1958年スイス、ラ・ショー・ド・フォン生まれ。
幼少期から時計づくりに目覚め、時計学校を最優秀の成績で卒業後、時計修復に携わる。ブランドを立ち上げ、時計の概念を超える作品を発表。
時の哲学者と讃えられる。
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